午前中は図書室で座学の時間です。これまで通り竜王国の基本事項や制度に加え、魔法(魔術?)云々なんかの勉強も始まりました。スプルース様が言ったように、私は魔法だの魔術だの使えませんので、あくまでも概念の話ですけど。魔法少女? 憧れたこともありませんが何か?

「——ここは『守備する』という命令、そしてこの部分は『範囲』を命令する言葉が、特殊な文字で書かれてるんだ」
「はぁ〜、これは模様じゃなくて特殊な文字だったんですね。しかも意味のある」
「そう」
 今日は結界の魔法陣を使っての授業です。スプルース様が、実際に使っているものにちょっと手を抜いたバージョンの魔法陣を例に、どういった意味があるのかとか、組み立て方などをざっくり解説してくれています。三次元バーコード的な? いや、リーダーで『ピッ』って読み取るのとは訳が違うか。
「特殊な文字ってなんなんですか?」
「古代の竜王国文字だよ。もはや魔術を使える者しか読み書きできない」
「なるほど」
 絵文字のようなものもあるし、引っ掻き傷みたいなのもあるし。あ、あれだ。ヒエログリフ的な感じか。もしくは楔形文字? どっちにしろこの文字を覚えて、言葉を覚えて陣を組み発動させるのには、めちゃくちゃ勉強しないといけないということだけはわかります。
「あくまでもこれは竜王国では、だからね」
「どういうことですか?」
「他国——例えばヴァヴァルにも魔術があったと思うんだけど」
「ありました」
 詳しくは知らないけど、女王様の側近に魔法使い的なポジションの人がいたと思います。誰だったっけな……ま、いいけど。
「ヴァヴェルの魔術が、竜王国の魔術と同じではないということだよ」
「同じではない?」
「魔法陣の組み方も、魔術の発動の仕方も違うってわけ」
「ほほ〜」
 なるほど、魔術にも地域性っていうものがあるんですね。理解理解。でもある程度勉強すれば読解できるらしく、解除したり邪魔したり、いろいろできるそうです。スプルース様たちは、竜王国の魔術を敵国に撃破されないようにとか、逆に敵国の術を簡単に破る方法なんかを日々研究をしているそうです。
 あと、発動の仕方は個人の能力とか道具がどーたらこーたらあるそうです。よくわかりませんでした。