「アラの味噌汁は無事にデビューしたから、次はカツオ出汁に挑戦してみよう。う〜ん……どうしよう、カツオ一本で行こうか、それとも昆布との合わせだしにするか——。あ、アスターのおやつも考えなきゃ」
 アラはともかく、カツオ出汁で料理を作るとしたら、鰹節の安定供給が必要なんですよね。今手元にあるのは、偶然にできた一本だけ。確かモーブさん、『燻製にしたのを忘れて放置してた』って言ってたっけ。燻製の技術があるなら、量産もできるかな。これは魚屋さん——ボルドーさんがこっちにきた時に相談してみよう。
 新しい料理のことやアスターのことを考えてると、楽しくなってきました。鼻歌混じりに新メニューを考えていると、モーブさんの笑い声が聞こえました。
「昨日ここにきた時とは別人のようだ」
「確かに!」
 竜王城を出る時、あんなに病んでたのが嘘のようです。一日でこんなに復活するとは、我ながら驚きです。