「モーヴさん、モーヴさん!!」
「なんだい、慌てて」
「これっ! これはなんですかっ!」
「ん?」
 怪訝な顔をしたモーヴさんが鰹節(のようなもの)を手に取り、ためつすがめつよ〜く見てから一言。
「確か、魚を燻製にしたやつだったと思う。使うつもりで作ったんだけど、すっかり忘れて、こんなに乾燥しちまったんだね」
 って、自然かつ偶然の産物かいっ! 思わずツッコミそうになりましたが、気を取り直して。
「これっ、使ってみていいですか?」
「そんなもん、使えるのかい?」
「はい、多分。薄く削れたら使えると思います」
「薄く、ねぇ」
「ナイフで頑張ってみます」
 できるかどうかわかんないけど、挑戦はしてみなくちゃ。
「なんか、いつものライラに戻ってきたね」
「はいっ! なんかやる気が湧いてきました」
「いいことだ。顔色もよくなってるよ」
「ほんとですか!」
 やる気は湧いてきたけど、鰹節は削るぞ!

「鰹節、手に入った……! 魚のアラもゲットだし」
 マンパワーで、できるだけ薄くに挑戦しました。なんとか形になって、ワクワクしながら出汁を取ってみたら、やはり鰹節でした。魚は前世のカツオと同じかどうかわからないけど、近い味がするので大丈夫でしょう。そのうち削り箱とか、できなければカンナでもいいけど、とにかくスプルース様にお願いしてみよう。何でも屋さんなんて思ってないですよ! QOL爆上げのために、ちょっとお力をお借りするだけですよ!
「料理の幅が広がるぞ〜!」
 なんか楽しくなってきました。