「今度は一人でおいでって言ったけどさぁ。まさかほんとに、こんなに早く戻ってくるとは」
「あは〜」
 やれやれといった感じでモーヴさんが首を振っています。
「お城の生活が忙しすぎて体調崩したって?」
「あ〜、はい」
 体調崩したというより爆発したといった方が正しいんだなぁ、これが。トープさんからどんな風に説明されてるのかわからないけど、とにかく、以前と変わらない態度で接してくれるのが嬉しいです。今まで仲間だと思っていた人たちから他人行儀に接せられてたこと、地味〜に寂しかったんだよなぁ。
「顔色も冴えないし、眉間の皺も深い。どんより曇ってるようだよ」
「え? そんなに?」
「ああ」
 かわいそうに、辛かったねって言ってくれるけど、私、そんなにわかりやすく澱んでたのか。知らなかった。
「しかしあんたは面白いことをやらかしてくるね」
「ゔっ……」
 前の時といい、今回の時といい。ほんとスンマセン。
「ははは! しばらくゆっくりするといいよ。体調がいい時だけ店を手伝ってくれたら、それでいいから」
「ありがとうございます!」
 ゆっくりなんてするつもりありませんよ。むしろバリバリ働かせてもらいたいんでね。以前使っていた部屋に荷物を置くと、私は早速手伝うべく、厨房に向かいました。