お妃教育というのは一日にしてならず。一日でマナーも教養も身に付いたら苦労しないってね。ということで、毎日朝から晩までお勉強と各種レッスンの日々が続いています。しかもお勉強は毎回、前回までの範囲で復習テストまであるんですよ。本格的に塾か学校かよって感じです。
「なんという点数でございますか!」
 お妃教育二日目。復習テストがあるなんて知らなかったから、前日と同じように図書室に行ったら、いきなりまさかのテスト。焦りながらなんとか解いたけど、そもそもノー勉強ですから数個間違ってしまったわけですよ。初っ端から満点取らなかったのがフォーンさんの逆鱗に触れたようです。頭から湯気噴き出す勢いでお怒りです。私にしては良くできた方なんですけど?
「もう若くはないので脳細胞が死んでいて、覚えが悪いんです!」
「何をおっしゃっているのかわかりかねますが、とにかく! 何がなんでも! 覚えてください! お妃様たるものがこの国のことをよく知らないなど、断固! あっては! ならぬことでございますっ!!」
「ひゃいっ!」
 どうやら満点以外は許してもらえなさそうです。完璧に覚えてこそ〜とか、国民に示しがつかない〜とか、延々お小言……お説教……いや、お妃たる心構えを説かれました。なんだこの圧倒的『姑感』。男の人なのに『姑』なところがミソです。
 ——という二日目の出来事以来、部屋に帰ってからはその日の復習、朝も早めに起きて再度の復習と予習をするように心がけました。おかげでなんとか満点を取り続けています。

 しかし、勉強は完璧に、それ以外の日常生活はマナーや仕草に気をつけるという緊張の連続の日々。そもそも基本性能がぐうたらな私には無理がありました。一週間もこんな生活が続けば、どこかにガタがくるってもんです。