食べた気のしない——もとい、レッスンがてらの昼食後はようやく解放かと思いきや、もちろんお勉強の続きが待っていました。そりゃ半日で終わるとは思わないけど、それでも思う。いつまで続くんだろうこの『お妃教育』とやらは。しかしウダウダとダイニングにいたって事態は変わらないし、むしろフォーンさんのお小言食らうだけでいいことなし。
「はあ。がんばろ」
 ため息をつきつつ、私は重い腰を上げました。

「私からは領土についての話をいたしますね」
 図書室に戻ると笑顔で待ち構えていたのはインディゴ様でした。ついさっきウィスタリアさんのお食事マナーレッスンの時に思い出したばかりなので、なんか予感があったのかな? まあそれはいいとして、地理的なお勉強は確かにお妃教育には必須ですね。国土を把握しておくなんてこと、統治者にとっては基本中の基本です。竜王国って、どんなところにあって、どんな形をしてるんだろう。インディゴ様が机に広げた大小二枚の地図を、私は好奇心を持って覗き込みました。