元気になったアスターと会えて、ちょっとメンタル復活しました。気持ちを入れ替え、締まってくぞ〜!
 国中の主要なお貴族様たちが見守る中、代々の国王一族が眠る礼拝所で誓いの儀式は行われます。神様がいて、神父さんとか神主さんがいて祝福して〜というのではなく、シンプルに、ご先祖様に『この人と結婚します』と報告するだけの儀式です。見守ってるのがお貴族様たちなので、人前式みたいな感じですね。
 今日も安定の黒ずくめの竜王様が、礼拝所の入り口で私を待っていてくれました。私は純白のウェディングドレスなので、まるでオセロですね。
「りゅうお——じゃない。ラファエル様」
「なんだ?」
「今日も素敵ですよ!」
「…………うむ」
 思ったことを素直に伝えただけなのに。照れたのかな? ちょっと目をそらせる竜王様が可愛い。
「これからもきっと粗相をいっぱいすると思いますが、よろしくお願いします」
 ポンコツはきっと変わらないけど、竜王様の隣に並んで歩いて恥ずかしくないように努力は続けるつもりです。
 私はそっと竜王様の頬に手を添え、引き寄せました。そして今日は、私から、キス。
「誓いのキス、です」
「そうか。余も、ライラをずっと守り続けると誓おう」
 今度は、竜王様から。
 見つめ合うと、自然に微笑みが浮かびました。
「さあ、いくぞ」
「はい!」
 静かに開いた扉の向こうに、二人足並み揃えて一歩を踏み出しました。

 結婚はゴールではなく、始まり。これからの、二人の未来に向かって——。