準備が整い、いざ儀式! ——と、その前に。
「わぁ……ライラ? おひめさまみたいだ」
 すっかり元気になったアスターが、私のウェディングドレス姿を見て目を丸くしています。なぜアスターが竜王城にいるかって? それは、特別にご招待したから。
 今日は特別にお城の門が開放されていて、敷地の中まで国民が来れるようになっています。そして、結婚したことを国民にお披露目するために、儀式を終えるとお城のバルコニーに出るんだそう。せっかくなのでと、モーブさん、ラピスさんと旦那さん、そしてアスターには一番前の特等席を確保しました。ただお披露目に出るだけでは私とわかってもらえなさそうなので、その前にこっそり厨房に来てもらって、会わせてもらってるってわけ。
「ライラ……ほんとに、ライラ?」
「そうなんですよ〜。まあ、中身は変わらないんで、これからも変わらぬお付き合いをお願いしますね!」
「まだ店に来る気なの!?」
「もちろん!」
 これから私はどう接したらいいの……と、ラピスさんが悩んでいます。むしろ変えずにいて欲しいです。
「元気になってよかったわ、アスター」
「おくすりくれたの、ライラでしょう?」
「そうだよ〜。アスターのために張り切って採りに行ってきたよ」
「ありがとう! ライラは『ドラゴン使い』だったんだね!」
「へ?」
「だってあの日、ライラがくろいりゅうさんにのってきたの、ぼく、みたよ」
 竜王様と一緒にアスターのところに行ったのを、そんなふうに捉えてたのか〜。子供って面白いなぁ。私が、竜に乗って薬草を採ってきた……かわいいファンタジーだわ。
「黒い竜さんがね、助けてくれたんだよ」
「そっか! ぼくもおおきくなったら、ドラゴン使いになる!」
「ドラゴン使い……」
「そう! あのかっこいいくろいりゅうさんといっしょに、たたかったりまもったりするんだ」
「黒い竜さん限定なんだ」
「そう!」
 得意げに頷くアスターが、可愛いのなんの。あの黒龍さん、ちょっと気難しいけど頑張って仲良くなってね!