残りのエフェドラは竜王城に帰ってすぐスプルース様に預け、薬に仕立ててもらいました。エフェドラと、その効果を増幅させる薬草などを組み合わせて作るそうで、そういう研究もスプルース様たちの分野なんだそうです。よくわからんけど。
 国中に薬を行き渡らせるためには、私が持って帰ってきたくらいでは全く足りません。そこはインディゴ様がしっかり対策してきていました。私たちが戻ってきた日の朝には、もう戻ってきました。快心の笑みで。
「ヴァヴェルとしっかりお約束してきましたよ。眠りの森一帯を新設した『フォーリッジ辺境伯領』とし、これまでの竜王様への迷惑料および、今回のライラへの慰謝料ということで、竜王国に移譲するということになりました」
「ふむ」
「もちろん、今後一切我が国に手出しをしないことも約束させています」
「当然だ。その時は——」
「滅亡あるのみ、ですよね」
「そうだ」
 めっちゃいい笑顔で怖いこと言いますね、インディゴ様! 竜王様も、細々とした条約が書かれた紙を見ながらしれっと頷いてるし。……まあ、竜王様のことだから、何かあったら本気で焼き払っちゃうでしょう。
「エフェドラは早急に必要なので、採取する部隊をすぐに派遣します。今後のことを考えると根絶やしにはできないので、栽培研究の者たちも、同時に派遣します」
「しばらくは仮の道を使うけど、落ち着いたらちゃんとした道を作るよ」
 道って、道路を通すのかな? でもよその国の領土を通る道なんて作れるのかしら? 
「道っていっても、魔法陣で作るやつだからね」
「え?」
「顔に出てるよ」
「わぁ……」
 恥ずかしい。みんなに笑われました。