「薬草はたくさん摘めました。ありがとうございます」
「そう。それはよかったわ」
 まず私は、薬草の御礼を女王様に伝えました。し・か・し、薬草の件と私を置き去り(転送したまま放置?)にしたのとは、話が別です。
「あの〜、女王様」
「なあに?」
「女王様とウェルドさんは、私を眠りの森に放置して、永遠の眠りにつかせるつもりだったのでしょうか?」
 回りくどいのは時間の無駄。私は単刀直入に聞きました。まるで想定外の質問だったのか、女王様はキョトンとしています。
「あら? そんなことないわ。ねえ、ウェルド?」
「もちろんでございます」
 ウェルド氏も、落ち着いたまま女王様に返事をしています。これは二人の演技? 本気? どっち?
「ではなぜ、帰り方を教えてくれなかったんですか?」
「ライラック殿は竜王国と連絡が取れるようでしたので、帰りはそちらでなんとかすると思っておりました」
 やっぱりウェルド氏、こっちにきてからの私を観察してましたね。部屋で竜王様たちと連絡とってるのがバレていたようです。
「それはおかしいですよね? 私、ここに持ってきた荷物とか置いて行ってましたよね? 戻ってくる気満々でしたけど?」
「ああ……。言われてみれば、確かに」
 考えていたかと思うと、ハッとするウェルド氏。
「まさか……うっかり?」
「うっかり、ですね」
 嘘でしょ。