竜王様の背中に乗って、私は女王様のお城に戻りました。
「寒くないか?」
「大丈夫です。さっきお借りした上着が暖かいので」
「そうか」
 夜風を切るのは寒かろうと、竜王様が人姿の時に掛けてくれたんです。竜王様に包まれているようで、暖かい。私を乗せてるのでスピードは抑え気味にしていたようですが、それでもあっという間にお城に着きました。
 竜王様が正門も何もかもを無視して、お城の正面玄関のところに着地すると、警備の兵士たちがわらわらと集まってきました。そりゃ、いきなりどでかい黒龍が空から降りてきたら敵襲かと思うよね。しかし、すぐに現れた女王様のおかげで捕まることはありませんでした。
「あらあら、まあまあ、竜王様までお出ましとは」
「話がある」
「薬草のことでございますか?」
「それもあるが、それだけではない」
「まあ、立ち話もアレですから、中へどうぞ」
 促されるまま、私と竜王様は女王様の後についてきました。