ウェルド氏からの重い——もとい、熱烈な愛。客観的にはお似合いだけど、本人はどうやらお気に召していない様子の女王様。むしろあんなに献身的に愛されるなんて、全世界の女子が羨望、垂涎するものなんですけど。う〜ん、私がアドバイスできることなんてほとんどないんだけど、あえて言えることって、やっぱり〝アレ〟ですよね。
「私が竜王様に認めていただけたのは、料理の腕のおかげです。胃袋を掴んだとまでは言いませんが、まあ、お気に召していただけています。ですので、女王様もお料理をされてみてはいかがですか? 女王様のように高貴な女性が料理できるって、ギャップがあって意中の方にも興味を持っていただけるのではないでしょうか?」
「嫌いな人に諦めてもらうのは?」
「あ、それは難題っぽいので後で考えます。というか、意中の方をゲットできた暁にはその方が諦めてくれるかもしれませんし、もしかすると意中の方が女王様のことを守ってくれるかもしれません」
 どうですウィンウィンでしょう? 女王様の言う『いい男』が誰を指しているのかわからないから、抽象的なことしか言えないけど。とりあえず私は『オトコの気を引く大作戦』の方を強く推しました。自分でも言ったように、ひょっとしたらワンチャン、両方解決するかもしれないしね。
「あら、それは素敵なアイデア。さすが庶民のライラック、私では考えもつかないことを思いつくのね」
 女王様は私のプレゼンに納得したのか、乗ってきました。しかしナチュラルにディスるのやめてください。ちょっとイラッとしたけど、この人完全に天然だからスルーしとこう。気を取り直して。
「お料理といっても種類はたくさんありますので、そうですね、簡単なお菓子なんていかがでしょうか。お手製のお菓子で楽しくお茶をする。手作りお菓子というネタで、話が盛り上がるかも(・・)しれません」
 あくまで〝かも〟ですが。