散歩の間、女王様は龍王様と私の馴れ初め(?)を、興味津々で聞いてきました。わたし的には馴れ初めた覚えがないんだけど。
「どうやって出会ったの?」
「貴女が私を空から落としたからです」
「あら〜、あの時? やだわ、私ったら。我知らずチャンスを与えちゃってたのね」
 私が直接落ちていけばよかった〜なんて言ってるけど、私、走馬灯見たんですからね! 竜王様が助けてくれなかったらどうなってたか……想像するだけでも恐ろしい。次に誰かを派遣する時は、ちゃんと地上に転送してあげてくださいね。ないことを祈るけど。というか、私を転送したのはウェルド氏か。……悪意しか感じないですね。
「ま、まあ。私と竜王様のお話はまた後で。それよりも女王様、例の男性のことですが、いつも近くにいるなんて大変ですね」
 私はウェルド氏を念頭において、でも主語はぼかしながら女王様に話を振ってみました。
「そうなのよ〜。でも能力は優秀だから、手放せないしねぇ」
「わかりますわかります。大事な側近で超優秀だけど、なんというか、愛が重そうですもんね」
「そうそう! ライラックってば、よくわかってるわ」
 私が理解を示したからか、嬉しそうに頷く女王様。え〜と、それを貴女が言いますか? 愛が重いのは貴女も同じですよ、と声を大にして言いたい。言いたいけど我慢しました。
 以前の記憶と昨日今日の観察で、女王様のお側にピッタリといたのはウェルド氏だけ。やっぱり〝例の男性〟はウェルド氏のことだと、確信しました。
 重たい愛の女王様と、重たい愛のウェルド氏。客観的に見てお似合いだと思うのは私だけ?