『ライラか! 無事に着いたのか?』
 応答はすぐにありました。ボリュームは小さいけど、はっきり聞こえました。
「はい。無事に着き、女王様にも面会できました」
『そうか。それで、今はどうしてる?』
「部屋を与えられたので、落ち着いたところです」
『危険なことはないか?』
「今のところ、びっくりするくらい平和です」
『そうか……』
 竜王様がため息をついたのが聞こえました。安心したのかな?
『それで、女王の要求はなんだったんですか?』
 インディゴ様の声が聞こえてきました。
「それが……驚かないでください」
『ええ、大丈夫ですよ。それなりに覚悟はできています』
『いつでも出陣できるしね』
 スプルース様の声も聞こえます。みんな同じ部屋にいるのかな? だとしたら、話が一度で済むからありがたい。私は息を吸うと、しっかりハッキリ言いました。
「女王様の、恋愛相談的なものでした」
『は?』
『えっ?』
『嘘でしょ』
 三者三様に驚いていますが、いやこれマジなんですよ。端的に言えば『嫌いな男の撒き方』と『いい男のゲットの仕方』を教えろということなんですが。私は昨日の会話をありのまま、竜王様たちに伝えました。
『ふっ…………ははははは!』
 竜王様の笑い声が聞こえます。
『あ、ラファが壊れた』
「竜王様?」
『ライラは気にしなくてもいいですよ。安心しただけですから。それで、これからライラはどうするんですか?』
「女王様のお願いを聞いたら薬草のことを教えてくれるというので、なんとかお力になれるように努力します」
『そうですか。なにか、ライラの得意なことで解決できるといいのですが』
『料理とかね』
「料理しか取り柄がないから料理で解決したいのは山々ですが……惚れ薬とか嫌い薬とかがあれば手っ取り早いのに」
『そんな薬、禁書にしか載ってないよ』
「ですよね〜」
 簡単にはいかないみたいですね。スプルース様に一蹴されてしまいました。
『女王の要求はわかったところで、まだ油断はしないでください』
「もちろんです。それに、まだわからないこともあるので、もう少し様子を見てから動こうと思います」
『あまり長居はしないで欲しいところですが』
『じゃないとラファがまた壊れる』
「なるはやで頑張ります! ところで、バーガンディーさんはどうしたんですか? さっきから声が聞こえないけど」
『ああ、さっそく例の店に派遣しましたよ。ですから、こっちのことは気にしなくて大丈夫ですよ』
「ありがとうございます!」
 竜王国の方の懸念はなさそうなので、私は女王様のお悩み解決の方に専念しましょう。