ヴァヴェル女王が私を単身指名してきた意図は、まさかの恋愛相談でした。
「あははははは!! すんごいシリアスに悩んだあの時間を返せ!!」
 あてがわれた部屋で一人きりになった途端、笑いが込み上げてきました。笑いというよりもはや爆笑。まあしかし、やっぱりあの女王様なんでね、最後まで気は抜かないでいきましょう。
 しかし今回は豪華な部屋に案内されましたね〜。てっきり以前使っていた使用人用の部屋に通されると思ったのに、ちゃんと客室だもの。竜王国の自室くらいの豪華さです。
「いちおう客扱いされてるみたいね」
 持ってきたトランクを適当な場所に置いたら、そろそろ竜王様たちに報告を入れないと。こっちに転送されてから随分時間が経っちゃってるので、竜王様が心配してるでしょう。
「指輪に触れながら話しかけるんだったよね」
 私はレクチャーされた通り、アンフィスバエナ・レピの指輪にそっと触れて。
「竜王様? 竜王様?」
 腰ぎんちゃく——もとい、ウェルドの魔法で盗聴されているかもしれない可能性を考えて、私は小声で話しかけました。