ヴァヴェル王国へは、馬車で向かうととても時間がかかるので、スプルース様に特別な魔法陣を作ってもらってテレポートさせてもらうことになりました。
「危険を察知したら竜王様を呼ぶことと、指輪を外さないこと。あとは、こまめに連絡を入れることだったわね」
 あれからもう少しお約束が増えました。一日に最低一回以上は連絡をすること、です。危険の察知にも繋がるし、交渉の進捗を知ることにもなるしということで。正直『めんどくせ』とは思ったけど、『ラファが心配性なんでね』『安心させるためにもこまめに連絡入れてあげて』なんてインディゴ様たちに言われたら嫌とは言えません。通信装置はスマホならぬ、この指輪を使うそうです。スプルース様が特殊な魔法をかけて、触れながら話しかけると、竜王国に繋がるようにしたそうです。スマートウォッチもびっくりだ。魔法ってすごい。
 部屋に戻って数日分の着替えをトランクに詰め込んだら、準備はオッケーです。下着と着替えがひと組もあれば十分って言ったんだけど、シエナたちに『一応女王様のお城に行くのでそれなりのドレスはお持ちください』って説得されたので、ドレス数着と、いつも着ている普段着(町娘風)数着を用意しました。
「ライラ様、どうか気をつけて」
「異常を察知したらすぐに逃げてください」
 シエナとクラレットが目を潤ませてるけど……やめて、変なフラグ立てないで。
「大丈夫ですよ。すぐに帰ってきますから。お土産……あれば持って帰ってきます」
 とは言ったものの、お土産にできるようなヴァヴェルの名産ってなんだったっけな〜?