紅幸「…いいの?」
おきな「…きっとダメな事だけど、私も寂しいから」
紅幸「ありがとう」
びしょ濡れたまま玄関に入る。バスルームまで走って廊下を最低限の濡れで収まらせる。
お風呂のお湯が沸いていることを見て、紅幸くんに
おきな「お風呂、沸いてるから入ってきていいよ」
紅幸「いや、俺よりおきなちゃんのほうが」
おきな「大丈夫だよ、私は紅幸くんが上がったらすぐ入るし、客人に風邪ひかせらんないからね」
紅幸「じゃあ…お言葉に甘えて」
そう言ってバスルームまで案内して、大体の勝手を教えて入らせてる間に、自分の部屋に行ってかわいてる服を着て、お父さんの着ていた服を取り出し洗濯機の上へ置く。
その間に廊下を拭いて、ケンタッキーを取り出して濡れていないかだけ確認する。
冷えてはいたが中まで水は浸水しておらずオーブンで温めれば元通りだった。
そうこうしている内にお風呂から上がってきた紅幸くんは完全にオフ状態だった。
いつもセットしている髪はペチャンコになっており、少し恥ずかしそうにしながら「ありがとう」と言われる。
おきな「じゃあ、次私入ってくるね。そこにリモコンあるからテレビ見ててもいいからね。あ、今日着てた服洗っておくね。勝手にしちゃっても大丈夫?」
紅幸「そこまでしてくれなくても俺…」
おきな「せっかくお風呂入ったのにまた濡れてる服着るのはダメだよ!お父さんの服あるから気にしないで」
紅幸「…俺ずっとありがとうかごめんしか言ってないけど、ありがとう」
おきな「どーいたしまして、じゃあ入ってくるね」
バスルームに入って自分の濡れている服とか下着を分別して洗濯機に入れる。紅幸くんの服も洗濯機に入れて洗濯する。
ゆっくりと一日の疲れを取るようにお風呂に入る。
全身綺麗に洗い終わりお湯に浸かる。
おきな「…だめなことしてる…よね」
自問自答して、自分を肯定も否定もできなくなる。
人助け、裏切り、不安、心配、寂しさ。
そんな考え事をしながらお湯に浸かっていると急に扉越しに話しかけられる。
紅幸「おきなちゃん」
おきな「え、紅幸くんなにかあった?」
紅幸「…一人でテレビ見るより喋ってたいって思った。」
おきな「そっか。私もう上がるからあと少し待ってて」
紅幸「ごめん、女の子のお風呂中なのに」
おきな「…気にしないでって言いたいけど言ったら流石にやばいから気にして!」
紅幸「ごめんごめん、じゃ、リビングで待ってるわ」
扉の音が閉まるのが聞こえて私もお風呂から上がる。