移動中会話もほとんどなかったが、水族館入って、魚をみたりしていると不思議と自分と重なった。
おきな「…お父さんとお母さんに愛されたのかな」
ポツリと呟いてしまった。しまったと思ったが、紅幸くんは、
紅幸「…愛されてるんじゃないか、例え、父さんとか母さんじゃなくてもこいつらは周りの観客に愛されて、飼育員に愛されてる。それだけで幸せなんじゃないか」
おきな「でも、親に愛されてなかったらほかの愛なんてどうでもいいのかもしれないよ」
紅幸「…かもな」
そこで会話は終わってしまったが、なぜだか心地が良かった。
誰にも家族のことを話したこと無かったけどその端を見せてしまったのだ。
一通り見回ったあと、またどうしようかとベンチに座りながら考えていた。
紅幸「…どうしよか」
おきな「…そう…だね、家には帰りたい?」
私にとっては賭けだった。
端を確実なものにするために。
紅幸「…どうせ父親は仕事だし家にいないから帰りたくはないな、どうせなら夜まで遊んでそのまま寝たい」
おきな「…だよね、私も両親家にいないし帰るのさみしいな、クリスマスイブだから余計に」
また無言の時間が流れるが、紅幸くんがふと手を重ねてきた。