お高く留まった吉月紗空は嫌いって言っていたのに、専務秘書になった途端に誘いが増えた。下心見え見えだ。
もちろん全て断っている。
社内の男性は何度か断ればそれ以上しつこくはしないが、最近少し困っているのは取引先の人からの誘いだった。
エレベーターで見送る時や、専務を待つ間にコーヒーを出した時に『吉月さん、今度食事でもどうですか?』と、プライベートなアドレスを書かれた名刺を渡されたりする。彼らも私を通して専務に近づきたいと隙を狙っているのだろう。
どのくらいハッキリと断っていいのかわからず、一応名刺だけは受け取り、うやむやに微笑んでいるけれど、果たしてそれでいいのかどうか。
「付き合っている男がいるって言っとけばいいんじゃねぇの」
「ん?」
「どうせ取引先にも誘われて困っているんだろ?」
「加郷すごい! そんなことまでわかるの?」
「お前って、ほんとに自分の事がわかってないのな、できる男ならまずお前みたいな楚々としたイイ女がほしくなるんだよ。社内だろうか社外だろうが、みんな一緒」
もちろん全て断っている。
社内の男性は何度か断ればそれ以上しつこくはしないが、最近少し困っているのは取引先の人からの誘いだった。
エレベーターで見送る時や、専務を待つ間にコーヒーを出した時に『吉月さん、今度食事でもどうですか?』と、プライベートなアドレスを書かれた名刺を渡されたりする。彼らも私を通して専務に近づきたいと隙を狙っているのだろう。
どのくらいハッキリと断っていいのかわからず、一応名刺だけは受け取り、うやむやに微笑んでいるけれど、果たしてそれでいいのかどうか。
「付き合っている男がいるって言っとけばいいんじゃねぇの」
「ん?」
「どうせ取引先にも誘われて困っているんだろ?」
「加郷すごい! そんなことまでわかるの?」
「お前って、ほんとに自分の事がわかってないのな、できる男ならまずお前みたいな楚々としたイイ女がほしくなるんだよ。社内だろうか社外だろうが、みんな一緒」



