「俺もだよ。卒業旅行は地中海だった」
柔らかく、専務が目を細めて微笑む。
「懐かしいな」
「専務も行かれたんですね?」
「ん? 意外か?」
「あはは、いえ、なんとなく専務はそういう団体行動が嫌いなのかなぁと」
私が知る限り彼はいつもひとりだったから。
「まぁ確かに行かないつもりだったんだけど、友人たちにしつこく誘われてね」
「おともだち?」
「氷室仁とか、西園寺洸とか。やつらはしつこいんだ」
――あ。
西園寺洸さんは私が行きたかった西園寺ホールディングスの御曹司で、氷室さんもいくつも会社を経営している氷室家の御曹司。
西園寺さんと氷室さんは誰の目にも明らかな親友でいつも一緒にいたけれど、時々須王専務も一緒にいる時もあった。
もしかしたら友達なのかもと思っていたけれど、やっぱり彼らとお友達なんだ。
となると、私の天使、彼女ともお友達なのか?
ワクワクと胸が躍った時、「リョウ」と、慣れない発音で呼ぶ声がした。
柔らかく、専務が目を細めて微笑む。
「懐かしいな」
「専務も行かれたんですね?」
「ん? 意外か?」
「あはは、いえ、なんとなく専務はそういう団体行動が嫌いなのかなぁと」
私が知る限り彼はいつもひとりだったから。
「まぁ確かに行かないつもりだったんだけど、友人たちにしつこく誘われてね」
「おともだち?」
「氷室仁とか、西園寺洸とか。やつらはしつこいんだ」
――あ。
西園寺洸さんは私が行きたかった西園寺ホールディングスの御曹司で、氷室さんもいくつも会社を経営している氷室家の御曹司。
西園寺さんと氷室さんは誰の目にも明らかな親友でいつも一緒にいたけれど、時々須王専務も一緒にいる時もあった。
もしかしたら友達なのかもと思っていたけれど、やっぱり彼らとお友達なんだ。
となると、私の天使、彼女ともお友達なのか?
ワクワクと胸が躍った時、「リョウ」と、慣れない発音で呼ぶ声がした。



