四時に退社し、美容室であれこれ整えてもらった。あとは部屋で迎えを待つのみ。
こんな時もあるかと、毛皮のショールや小物も持ってきていてよかった。三年間で一度も身につける機会がなかったのに、まさか、〝あの須王さま〟とパーティーに行くなんて。
世の中何が起きるかわからないわねー、なんてしみじみと思う。
鏡の前に立ち、とっておきのアクセサリーを付けて完成。
すっかり忘れていた青扇のキラキラした世界を思い出した。
須王専務の到着はその時だった。
スマートホンにメッセージの着信音が鳴る。
【マンションの前にいる】
【ありがとうございます。今下ります】
急いでいくと、マンションに背を向けるようにして専務が立っていた。
声をかけようとした瞬間、彼は振り返り、眩しそうに目を細める。
「お待たせしました」
「綺麗だ」
――え?
「あ、ありがとう、ございます」
思いがけない褒め言葉に心臓は跳ね上がり、視線を泳がせてしまう。
専務もとても素敵ですよと心の中で返したけれど、声にはならない。エスコートするようにリムジンのドアの前に立つ彼に頭を下げるのが精一杯だった。
車の中はふたりきり。
何か話をしないと、気持ちがおかしなことになりそうだ。
こんな時もあるかと、毛皮のショールや小物も持ってきていてよかった。三年間で一度も身につける機会がなかったのに、まさか、〝あの須王さま〟とパーティーに行くなんて。
世の中何が起きるかわからないわねー、なんてしみじみと思う。
鏡の前に立ち、とっておきのアクセサリーを付けて完成。
すっかり忘れていた青扇のキラキラした世界を思い出した。
須王専務の到着はその時だった。
スマートホンにメッセージの着信音が鳴る。
【マンションの前にいる】
【ありがとうございます。今下ります】
急いでいくと、マンションに背を向けるようにして専務が立っていた。
声をかけようとした瞬間、彼は振り返り、眩しそうに目を細める。
「お待たせしました」
「綺麗だ」
――え?
「あ、ありがとう、ございます」
思いがけない褒め言葉に心臓は跳ね上がり、視線を泳がせてしまう。
専務もとても素敵ですよと心の中で返したけれど、声にはならない。エスコートするようにリムジンのドアの前に立つ彼に頭を下げるのが精一杯だった。
車の中はふたりきり。
何か話をしないと、気持ちがおかしなことになりそうだ。



