『秘書さーん。社内中の女子社員に羨ましがられているわよぉ』
『えー、そうなんですか?』
『決まってるじゃないの。イケメン御曹司の専属秘書よ?』
『いつでも変わってさしあげるのにー』
須王専務は確かにイケメン御曹司だ。そこに異存はない。
顔もスタイルもモデル並みだし、毅然とした歩き方も立ち居振る舞いの美しさも、彼は御曹司や芸能人の巣窟である青扇学園の中でさえ抜きんでていた。
一般社会で目立つのは当然だと思う。
でも、それだけじゃないのよと言いたい。
彼はイケメンで御曹司だけれど、そんななまやさしいものじゃない。
「ふぅ」
淹れたてのコーヒーをトレイに乗せて専務室の扉の前に立ち、大きく息を吐く。
この先に、彼女たちが知らない彼がいる。
ゴクリと喉を鳴らし、コンコンと軽くドアを叩く。
「失礼します」
ドアを開けて、朝のあいさつ以上に背筋を緊張させながら須王専務の席に向かって歩く。
一歩一歩と近づく途中、私のアンテナがピクリと動く。
今、"須王結界"に入った。
『えー、そうなんですか?』
『決まってるじゃないの。イケメン御曹司の専属秘書よ?』
『いつでも変わってさしあげるのにー』
須王専務は確かにイケメン御曹司だ。そこに異存はない。
顔もスタイルもモデル並みだし、毅然とした歩き方も立ち居振る舞いの美しさも、彼は御曹司や芸能人の巣窟である青扇学園の中でさえ抜きんでていた。
一般社会で目立つのは当然だと思う。
でも、それだけじゃないのよと言いたい。
彼はイケメンで御曹司だけれど、そんななまやさしいものじゃない。
「ふぅ」
淹れたてのコーヒーをトレイに乗せて専務室の扉の前に立ち、大きく息を吐く。
この先に、彼女たちが知らない彼がいる。
ゴクリと喉を鳴らし、コンコンと軽くドアを叩く。
「失礼します」
ドアを開けて、朝のあいさつ以上に背筋を緊張させながら須王専務の席に向かって歩く。
一歩一歩と近づく途中、私のアンテナがピクリと動く。
今、"須王結界"に入った。



