政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 もうすでに何度目かもわからないキス。

 髪を撫でられて、キスをして。それで“燎さん”なんて言ったら、多分私、自分の口から出た言葉に酔って、全身から力が抜けちゃう。

 せめてリビングに通せばよかった。

 私の部屋はワンルームだからベッドが見えるし、ふかふかなのがお気に入りのローソファーはこうして寝転ぶととっても気持ちがよくて、上から覆いかぶされたらもう起き上がれない。

「言わないと、ずっとこのままだぞ?」

 両手で顔を包まれてジッと瞳を見つめられていると、体の芯が熱くなってくる。

 もう耐えられない。
 このままじゃ、熱に蕩けてしまう。

「燎……」

 震える想いでそう言うと、
 彼は「よく言えました」と言って渡しの首元に顔を埋める。

 唇が首筋を這う。
 それならまだキスのほうがよかったと思ったけれど、顔を上げた彼が落としたキスは、
 いままでの触れるだけのようなキスとは違ってた。

 甘く、深く。

   彼は、私を誘惑して離さない。
 


fin .-**