ただ欲に身をまかせて女の子と付き合うことはあったが、体を重ねるだけでそこには心が乱れるような甘いものはない。その時の相手がどんな瞳をして自分を見ていたか、不思議なほど覚えていなし、極端に言えば顔すらすぐに忘れる。現に、今思い出そうとしても、ひとりとしてその顔を思い出せない。
なのになぜか、吉月紗空だけは心に刻まれていく。
彼女が、どんなふうに夕焼けを見つめていたか。
どんなふうに笑ったか。
髪が風に揺れる様や、瞬きの具合まで忘れられない。
それでも、まだも気づいていなかった。
紗空が地元の大学に行ったと知り、もう会うことはないと思った時も。疑問には思っただけで深くは考えなかった。
ただなんとなく、似た香りを探す自分がいただけだ。
でもなぜだか、とてつもなく長く感じる大学生活だった。
社会人になるとほぼ同時にニューヨークへ渡り、毎日忙しく仕事な追われる日々の中で、時折ふいに紗空を思い出した。
あの子はどこに就職するのだろうと。
なのになぜか、吉月紗空だけは心に刻まれていく。
彼女が、どんなふうに夕焼けを見つめていたか。
どんなふうに笑ったか。
髪が風に揺れる様や、瞬きの具合まで忘れられない。
それでも、まだも気づいていなかった。
紗空が地元の大学に行ったと知り、もう会うことはないと思った時も。疑問には思っただけで深くは考えなかった。
ただなんとなく、似た香りを探す自分がいただけだ。
でもなぜだか、とてつもなく長く感じる大学生活だった。
社会人になるとほぼ同時にニューヨークへ渡り、毎日忙しく仕事な追われる日々の中で、時折ふいに紗空を思い出した。
あの子はどこに就職するのだろうと。



