北海道出張から戻って、三日が経った。
「おはようございます」
「おはよう」
立ち止まった須王専務は、「もらいもの」とだけ言って、カウンターデスクの上に小さな包みを置いた。
「ありがとうございます」
香水の次に彼がくれたのは高級なチョコレートなどのお菓子。
でも、この包みはお菓子が入っているようには見えない。小箱にはリボンがついている。
専務を見上げると彼はにっこりと微笑んで首を傾げる。
開けるのを促されているようなので、包みを開けてみた。
「――あ?」
ネックレスだった。
銀色の鎖のところどころに、小さな宝石で形どられた花が虹色に輝いていて、以前もらったブレスレットとデザインがよく似ていた。
外すなよと言われたブレスレットは今も手首についている。並べてみるとやはり同じだ。
「これは?」
「いらない?」
「いえいえ、いらないとかそういうことではなくて……」
どう見ても高価なものなのに、私が頂いていいんですか? 私じゃなくて、どなたか、恋人とかいらっしゃらないのですか?
縁談を断ったり、旅館で私に何もしなかった理由はそういう……。



