「最後くらい行ってみるかと思って遅れて向かったんだ。向かう途中、雪が降ってきた。あの日、薔薇の家から見上げた雪は、とても綺麗だったな」
――薔薇の家……。
外を見つめる専務は何を思うのか。
あの時私は雪が降ってきたことに気づいてパーティ会場を出た。
友達は寒いからと嫌がったけれど、輝くイルミネーションと舞う雪が本当に綺麗で、私はひとりで、寒さを忘れて外を歩いた。
薔薇の家は、薔薇が咲くガラス張りの温室だ。広さは二十畳くらいだったと思う。
スモールライトがほんのりと輝く薔薇の家が見えて、引き寄せられるように薔薇の家に行ってそっと中に入った。
深紅の大輪に心を奪われて、顔を埋め薔薇の香りに包まれた。しばらくそうしていて、ふと顔を上げたとき、奥に人がいる事に気づいた。
そういえば、あれは専務だった。
黒いコートを羽織った彼は、ポケットに手を入れて上を見上げていた。
つられて見上げると、ガラスの屋根に雪が舞い落ちて、解けて。とても綺麗で。
――薔薇の家……。
外を見つめる専務は何を思うのか。
あの時私は雪が降ってきたことに気づいてパーティ会場を出た。
友達は寒いからと嫌がったけれど、輝くイルミネーションと舞う雪が本当に綺麗で、私はひとりで、寒さを忘れて外を歩いた。
薔薇の家は、薔薇が咲くガラス張りの温室だ。広さは二十畳くらいだったと思う。
スモールライトがほんのりと輝く薔薇の家が見えて、引き寄せられるように薔薇の家に行ってそっと中に入った。
深紅の大輪に心を奪われて、顔を埋め薔薇の香りに包まれた。しばらくそうしていて、ふと顔を上げたとき、奥に人がいる事に気づいた。
そういえば、あれは専務だった。
黒いコートを羽織った彼は、ポケットに手を入れて上を見上げていた。
つられて見上げると、ガラスの屋根に雪が舞い落ちて、解けて。とても綺麗で。



