政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 考えてみればまだ二十代なのだから当然なんだけれど、須王専務ではなくプライベートを目の当たりにしているようで、なんだかこそばゆい。

 せっかくだからこの状況を楽しもう。

 開き直ってみると、サンタクロースからの一足早いクリスマスプレゼントのような気さえした。

 外を見れば雪はまだ深々と降っている。一面真っ白だ。

 東京では見ることのない景色、そもそも雪が珍しいから。

「青扇のクリスマスパーティ。雪が降っていたのを覚えているか?」

 振り向くと専務も外を見ていた。

「はい。よく覚えています。私が通った三年間で、雪が降ったクリスマスパーティは一度だけでしたから」

「俺がクリスマスパーティに行ったのはあの一回だけなんだ」 

「そうだったんですか」

 あの頃、同級生が言っていた。

『須王さまはパーティはお好きじゃなくて、あまり参加されないそうよ』

 華やかな場所が似合うだろうに、実際あまり見かけなかったと思う。