政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 タオルで隠しながら入れば大丈夫かな。

 荷物を整理して居間に移動しテレビをつけたものの、このまま部屋にいるのは落ち着かない。

 でも外は吹雪だし、館内には行くところもないしで、意味もなく立ったり座ったり、お茶を飲んだりしているうちにお風呂から専務が出てきた。

「いい温泉だよ。疲れがとれる」

 専務の髪は濡れていて浴衣に着替えている。

 慌てて視線を下げた。

 あー、もう落ち着かない! ひと晩ずっとこんな感じなの?

「夕食まで時間あるから、ゆっくり入れるぞ」

「あ、そ、そうですね。じゃあ私も……」

 急いで立ち上がり、着替えを抱えて入れ替わるようにそそくさと風呂場に向かった。

 ここまできたらもう、なるようになるしかない……。タオルで体を隠しながら、そそくさと温泉に入った。

 ふぅーっと、気持ちよさのあまり声が出る。「あぁ、気持ちいい」
 やっぱり入ってよかった。