どうやってここが分かったのか、大悟さんがすごい勢いでろう下を走ってきた。
「ぬりかべなの!」
「ち、ちがうよ、リコちゃん。あれはことりちゃんのボディーガードの人だよ」
大悟さんは屈んでいたあたしには気づかないで、一目散にメイドさんへと近づいていく。
蓮も慌てて隠れたみたい。
「おい、ことりはどこだ!」
「あら、役立たずのボディーガードじゃない。今更何しにきたの?」
「なんだと! その言い方……まさか、お前が、ことりを誘拐したのか!」
「ご名答。そうよ。そのために木ノ下家へメイドとして就職したんだもの。一度は失敗して引っ越すことになったけれど、今度は完璧にやり遂げるわ」
ええ! この町に引っ越すきっかけになったっていう前の町での誘拐未遂もこのメイドさんが犯人だったってこと?
「ふん、どこが完璧だ。前回は顔を見損ねたが、今回はもう言い逃れもできないぞ」
「それはわたしを捕まえられればの話でしょ」
「はん! メイドのひとりやふたり、俺が逃がすとでも?」
「なら、やってみせてくださる?」
「女だからって、子供を誘拐するような奴、俺は手加減しねえぞ!」
大悟さんは、太い腕を大きく振り上げてグーパンチ!
やった! もしかしてこれで解決!?
って思ったのは一瞬だった。
「うあっ!? ぐおっ!?」
ウソッ!


