その人がサングラスをゆっくりとはずす。
「あ、あなたが犯人──でも、どうして」
「あら、何度か見かけただけなのにわたしのこと覚えててくれたの。あ・み・ちゃん。ことりから聞いているわよ。引っ越してさっそくできたお友達でしょ」
それは、見覚えのある人だった。
前に会った時は、優しそうでヒラヒラの可愛い服を着てたから全然想像出来なかったけど、それは──。
「走れ!」
蓮が叫ぶと同時に何かを犯人へ投げつける。
「ギャアアッ! ゴ、ゴキブリ!」
ゴムのオモチャだ。けど、犯人はよっぽど恐かったのか尻餅をついている。
「あみ、いまのうちだ!」
「あ、うん」
あたしは、蓮に腕を引かれて階段を一気に駆け上がった。
そして、近くの教室の中へ走り込む。
「うまく、撒けたみたいだな」
机の影に隠れると、蓮とあたしはハアハア言いながら座り込んだ。
「そうね。でも、まさか犯人があの人だったなんて……」
「春音のヒントのメモの意味がやっと分かったな」
そう、春音くんが誘拐される時に残したメモにあった【めい】。あれは、名前ではなくてメイドさんの【めい】。
犯人はことりちゃんの家のメイドさんだったの。
「だけど、どうしてあの人が? 優しそうだったのに」
「さあな。人は見かけによらないってことだろ。それよりも、まずは二人を助けないとな」
そうだった。時間がないんだった。
それなのに、まだ春音くんとことりちゃんがどこにいるのかも分からないなんて。


