「あみ。おれの話、ちゃんと聞いてるか……。それよりこれ、見てみろ」
リコちゃんが消えた壁に板チョコレート一枚分ぐらいのプレートがくっついていて、そこに文字が書かれてる。
「TLクラブ……? なに、これ」
「さあ……。たぶんTとLは英単語の頭文字なんだろうけど、これだけじゃ想像もつかないな。クラブは、まあそのままの意味かな」
TとLがつくクラブね。TとL、TとL。う~ん……。
「トイレクラブ!」
「なにするクラブなんだよ」
「テストの点数が悪かったら罰として毎日トイレ掃除をするクラブ」
「それ、クラブにする必要ないだろ」
あれ、なんか蓮があきれた顔してる。どうやら違うみたいね。それなら。
「とんでもないレモンクラブ!」
これよね。
「みたこともないようなレモンを作るの。百キロの大きいのだとか、イチゴ味で空を飛ぶのとか」
「あんまりおいしそうじゃないな」
ええ~、これもダメ? 蓮てば夢がないな。
仕方がない。最後にとっておきのTとLを──って。
「蓮!!」
「ん? うわっ!」
プレートに手を当てた蓮の指が消えている! しかも、驚いて体勢を崩した蓮の体も壁の中にスーッと吸い込まれていく。
せっかく最後にすっごいTLクラブを考えようと思ったのに。
あたしは夢中で蓮の腕に手をのばしていた。
けど、
「つかまって! あ、無理──ひ、ひあああっ!」
引っ張り上げることが出来ずに、一緒に壁に吸い込まれてしまった。


