「こっち」


そう言うとリコちゃんはふわふわと飛びながら教室を出て行く。


「行ってみるか?」


「う、うん」


やっぱりよく分からないけど、大事な話があるって言ってたし、お化けじゃなくてカワイくて良い妖怪みたいだし。とにかく後を追っかけてみることにした。

途中、何人かの生徒とすれ違ったんだけど、


「あみちゃん、さようなら~」


「蓮くん、またダンス見せてね」


みんな、リコちゃんには気づかない。


「もしかして、見えてないの?」


「そうみたいだな」


不思議だけどあたしたち以外には見えていないみたい。
四階に上がって、理科室や音楽室を通り過ぎて、廊下の突き当たりまで来る。

すると、リコちゃんは一度振り返った。


「こっちなの」


そして、なにもないはずの壁にスーッと吸い込まれていく。


「ウソ! 壁に食べられちゃった」


「それじゃあ、【学校の妖怪】じゃなくて【学校が妖怪】になっちゃうだろ」


「ええ!? 学校って妖怪だったの!」


衝撃の事実だわ。