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あたしと蓮は、春音くんの家を出ると、今度は2人が誘拐された場所へ走った。
そして、誰にも見つからないように真横にあった空き地に隠れた。
草の間から覗くと、現場になった場所がよく見渡せる。
「ここなら見逃さないな」
「う、うん」
どうしよう。すごく緊張する。
だって、これからまた春音くんとことりちゃんがさらわれるところを見てなきゃいけないんだもん。
「おい、来たぞ」
ああ、みんな楽しそうに歩いてる。これから大変なことが起きるっていうのに。
あ、蓮とあたしが走り出した。いよいよこの後だ。
みんなの背後から黒い車が近づいて静かに止まる。そして、黒い服の人が下りた。
「み、みんな──んぐっ!」
「おい、あみ。騒ぐな」
いけない。ダメだって分かってるのについ、声が出ちゃった。蓮が口を押さえてくれたから誰にも気づかれてはいないみたいだけど。
ああ、ことりちゃんが車に乗せられちゃった。
そして、次は。
「春音、くん……」
車が走り去ると、朝のあたしと蓮はタイムリープする為に学校へダッシュして行った。
「もういいだろう。おれたちは戻ってこなかったから」
あたしと蓮は、誰もいなくなった道路に出て、春音くんがいた場所でしゃがんだ。