「犯人は?」
「一瞬の出来事だったからそれは分からない」
「そうか……。なら、その時のことを詳しく教えてくれる?」
「分かった」
「──なるほど。ぼくは簡単にロープで縛られちゃったのか。おそらく犯人はことりの後をつけてたはずだから別の道を通っても意味ないし、それに大勢でいても無理なのか……」
蓮が一通りこれから起こることを話すと春音くんは静かに頷いた。
「なら、作戦はひとつだね」
「ひとつ? あたしたち、何回だってやり直して助けにくるわよ」
「そうだぞ春音」
「いや、ぼくたちは違う時間にいる自分自身に正体がバレたらいけないから、何度も同じ時間に戻るリスクは避けないとね」
「そうだけど」
「それなら、誘拐の瞬間に動けるのはぼくだけだよね」
「そうか! 誘拐される時、あたしと蓮はそこにいたんだ。飛び出したりしたらバレちゃう」
「けど、肝心のぼくはきっと犯人には適わない。素早さから言って、おそらく逃げるのも無理だろうね」
「警察は!? まだ警察に言うなとか言われてないぞ」
「子供が2人これから誘拐されますって電話してもきっとイタズラだと思われるよ。それにタイムリープのことは誰にも話せないし、例え言えたとしても過去に戻れるなんて、大人には益々ふざけていると思われるでしょ」
「じゃあどうするんだ」
「それはね……。一度しか出来ない作戦だから2人ともよく聞いて──」


