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時間は朝の七時過ぎ。
みんながあたしを迎えにくる三十分前。
タイムリープしたあたしと蓮が大急ぎで向かった先は、
「蓮とあみ? こんなに早くどうしたんだい?」
まだちょっと眠そうな春音くんの自宅。
おばさんに無理を言って入れてもらうと、あたしたちは春音くんの部屋に押し掛けた。
勉強を教えてもらうのに何度か来たことがあって助かった。
おばさんも「忘れ物?」ってよく分からないこと言ってたけどすぐに入れてくれたし。
肝心の春音くんは、
「……もしかして、緊急事態発生?」
すぐになにかに気づいたみたいで、眼鏡を指で押し上げる。
「よく分かったわね」
「2人とも息を切らせてるってことは、急いでここまできた証拠だし。この後の会う予定まで待てなかったってことは、時間がないってことでしょ。──待って。ということは……もしかして、2人は今タイムリープしてる?」
「すっごーい! まだなにも言ってないのに、そこまで推理出来ちゃうなんて、さっすが頭脳担当!」
「あみ、関心してる場合じゃないぞ。春音の言う通り時間がない。もうすぐことりと大悟さんが来る。その後、うちに寄って最後があみの家だ」
「ああ、そうか」
「そんなに慌ててるってことは、この後のぼくになにかが起こるの?」
「そうなの。ことりちゃんは親と仲直り出来るんだけど、この後、みんなで学校へ向かう途中、なぜかことりちゃんと春音くんが誘拐されるの」
「ぼくも誘拐されるの!?」
春音くんはしばらく驚いてたけど、すぐに考える人ポーズになる。
「……昨日までは、ことりを誘拐していたのはことり自身だったから、まったく別の新しい誘拐事件ってこと?」
「その通り!」


