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「たいへんよ! たいへん!」
「おーい、リコー!!」
あたしと蓮は大急ぎで学校まで走ると、小さな教室に飛び込んだ。
「あみお姉ちゃんに蓮お兄ちゃん? どうしたなの? まだ朝なの」
タイムリープクラブの活動は放課後だから、朝からあたしたちが来ると思ってなかったのか、リコちゃんはキョトン顔。
窓枠に腰掛けて足をプラプラさせて首を傾げてる。
けど、放課後までなんて待てない!
「誘拐よ! 誘拐事件!」
「毎日タイムリープしてるから知ってるの。ことりちゃんを助けるの」
「そ、そうなんだけど、それじゃなくて。今度は【ことりちゃん春音くん誘拐事件】なの」
「ふに?」
よく分からないのか、リコちゃんは首を傾げすぎて真横に寝そべった格好になっちゃった。
「犯人は誰か分からないけど、黒ずくめのすっごい素早い人なの。春音くんなんか一瞬でグルグル巻きだったんだから」
「にゅ?」
ああ、リコちゃんが宙に浮かんで逆さまになっちゃった。全然意味分かんないって顔してる。
もう! 急いでるのに、焦ってるからうまく説明できない。
「あみ、おれが説明する」
あ、そうだった。蓮がいたんだった。最初からお願いすればよかった。
「あみに任せたら明日になっちゃうからな」
一言余計だけど……。


