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あたし、蓮、春音くんの三人はお社の前でポカンとしていた。
目の前にはことりちゃんと、そのことりちゃんを誘拐するはずだったクマ男──大悟さんが肩を並べて座っている。
すぐに神社に戻ってことりちゃんの話を聞くことになったんだけど、それがもうビックリだったのよ。
だってね、
「狂言誘拐!?」
まったく意味分かんないんだもん!
「なによ、キョウゲンって」
「本当は誘拐されてないのに相手を騙すってことだよ」
さすが春音くん物知り。
「大悟さんはそれを止めようとしてたのか」
「でも、いったい誰を騙すの? そんなことしてなんの得があるの?」
「それは……」
「それは俺から話そう」
ことりちゃんがモジモジしてたら、クマ──じゃなくて大悟さんが口を開いた。
「ことりの両親は昔から仕事が忙しくて、ほとんどこの子に構ってやったことがないんだ」
「そりゃあ、忙しいなら仕方がないんじゃない」
「ことりは小学生になってから一度も親と一緒に遊びに行ったことがなくて、ここ数年ご飯だって一人で食べている。家のことはメイドに任せっきりで外では俺がボディーガードをしている。父親は年中海外出張で家にいないし、母親もことりが眠ったころに帰宅して朝も早いから会話だってないに等しい」
「そうだったんだ……」


