「で、出た!」
お社の影から、あのクマ男が現れた。
大きい体がのっそりとことりちゃんに近づいていく。
そして、ことりちゃんの隣にドシンと腰を降ろした。
「た、大変! 誘拐されちゃう! 蓮!」
「ああ。わかってる。それじゃあいくぞ!」
「いや、ちょっと待って」
「な、なに?」
あたしと蓮が作戦通りクマ男に立ち向かおうとしたら、なぜか春音くんが、止めてくる。
「なにかようすが変じゃない?」
「変?」
「あの二人、普通に話をしてないか」
そ、そりゃあ「こんにちは」とか言われたら、ことりちゃんはよい子だから「こんにちは」って挨拶を返すわよね。
「会話は聞こえないけど、きっとやさしく近づいて誘拐するつもりなのよ」
「確かに……そうかもしれないけど」
「どうしたんだ春音。もしかして恐くなったのか」
「そ、そんなことはないけど──」
「イヤです! 絶対にイヤ!!」
もたもたしてたら、ことりちゃんが大声だして急に立ち上がった。
「な、泣いてるわよ」
しかも、ことりちゃんは離れようとしたけど、クマ男が逃げないように手をガシッと掴んだ!
大変!!
「春音!」
「春音くん!」
「わ、わかった。作戦開始だ!」


