学校が見えてくると、春音くんがやってきた。
ことりちゃんがいるのを見てほっとしてる。
春音くんはことりちゃんと話た後、あたしたちに顔をよせてくる。
「うまくいったみたいだね」
「あみが、うるさいおかげでな」
「なによその言い方。なんだか悪いことしたみたいじゃない」
「まあまあ、二人とも。──それより自己紹介はすんだ? もう分かってると思うけど、これがぼくのいとこの木ノ下ことり。これから同じクラスだから仲良くしてやって」
「おれは菅野蓮」
「あたしは渡瀬あみ。さっきも言ったけどあみって呼んでね、ことりちゃん」
「蓮くんにあみちゃん。よろしくお願いします」
ぺこりって頭を下げることりちゃん。お行儀がよくてカワイイなあ~。
それに、友達が増えるってなんだかうれしい。
「よ~し、じゃあせっかくだし、うたおうと思ってた歌をみんなで歌おう!」
「いや、もう必要ないだろ」
「残念だけど、急がないともうすぐ一時間たっちゃうんだ」
ええ~。
「森のクマさんみんなでうたおうと思ってたのに!」
「あみ、遅刻しちゃうから。──みんな走ろう」
せっかくクマ男をみて思いついたのに。
でも、歌えなかったのは残念だけど、そのクマ男──誘拐犯はあたしが見事おいはらったから、まあいいかな。