あたしが名前を呼ぶとすぐに伝わったみたいで、蓮がうなずく。
春音くんはまだ来てないけど、あたしたちは勇気を出してことりちゃんに駆け寄った。


「おはよう、ことりちゃん」


「おはよう」


「あ、……おはよう、ございます」


「一緒に歌いながら学校へ行こう」


「え?」


ことりちゃんはキョトン顔。
初対面だからかな。

でも、ここは女の子同士。きっとすぐに仲良くなれるわ。


「あたしは渡瀬あみ。あみって呼んでね。決してあやしいものではないわよ」


「お前な……」


蓮、なんで頭抱えてるの? 
あたし変なこと言ったかな?


「いきなり初対面でそんなこと言われたら十分あやしいだろ」


「そう? ──じゃあ、ことりちゃん」


「は、はい」


「あたしたちははじめて会ったしはじめて話すけど、もう友達みたいなものなの。だから気にしないで歌いましょう」


「いや、だから気にするだろ」


「どうしてよ蓮。歌うんでしょ」


「そういう問題じゃないだろ。あやしすぎる」


「そんなことないわよ。ねえ、ことりちゃ──ん?」


あれれ? ことりちゃんが変な人を見る目であたしを見てる。


「ああ、……おれたち春音の友達なんだ。君が今日転校してくるって聞いて近所だから一緒に登校しようと思ったんだけど、ダメかな」


「春音くんの? そうだったんですね。よかった。急に知らない人が一緒に歌おうっていうからびっくりしちゃいました」


「え、でも、歌うわよ」