女の子たちが帰ると、また蓮が戻ってくる。


「今日はずっと、うんうんうなってたよな。悩みごとか」


「そう、だっけ」


「授業中も、いつもはりきる給食の時間も、ずっと難しい顔してたぞ」


「給食のときはそんなにはりきってません!」


ほっぺたいっぱいに空気を入れてにらんでやると、「じょうだんだよ」と言いながら「それで、なにがあった?」ときいてくる。

いつも元気なあたしが悩むことなんてめずらしいから、一応幼なじみのよしみで心配してくれているみたい。


う~ん。どうしよう。
話すのはいいんだけど、春音くんが実は魔法使いなんて信じるかな。

そう。一日考えた結果、あたしの中で春音くんは魔法使いってことになったの。
理由は簡単で、あんなこと──ひとりの人が同時に別の場所に存在するなんて──魔法でも使わなきゃできるわけがないから。

最初は忍者の分身の術と迷ったんだけど、春音くんは頭はいいけど運動は並だから魔法の方がしっくりきたのよね。


「春音が魔法使い!?」


「うん、どう思う」


「いや、どうって言ってもな……魔法ね……」


蓮はキョトンって顔してる。


やっぱり信じてくれないかな。素直に話したんだけど……。


って思ってたら──。