「春音はどうするんだ」


「このままだと三人とも捕まる。だから一番足の遅いぼくがおとりになって、先生を足止めする。そのスキに二人は逃げるんだ」


「それじゃあ、春音くんがお説教されちゃうよ」


「大丈夫。ぼくは一応優等生だからね。あみや蓮と違ってお説教は短いはずだよ」


「ええ、なによそれずるい。あたしもお説教は5秒がいい」


「おい、あみ。いまそんなことを言ってる場合じゃないだろ。それにいくら春音でも5秒はないだろ」


「じゃあ何秒?」


「いいから、行くぞ」


「行き先はことりの家。後で合流しよう」


「あ、ちょっと春音くん。後でお説教時間教えてね」


春音くんは、そのまま教頭先生の声のした階段へ。あたしは蓮に引っ張られて反対側の階段を降りてそのまま学校の外に出た。


「ハアハア……。ちょっと休もうか」


しばらく走って、学校が見えなくなったらやっと蓮が止まってくれた。


「これから……ハア……ハア、どうするんだっけ」


「ことりって子の家に行く。場所は確かあみの家の近くだっただろ」


「そうか」


そういえば最近、あたしの家の裏にある丘の上に、大きくてきれいな白い家が建ったの。

作戦会議中にそこがことりちゃんの家だって春音くんが教えてくれたんだった。
それで、春音くんが考えた作戦はこう。