「勝負しよう!」
「?」
「あみちゃん?」
「何を言ってんだ、おまえ?」
「告白勝負! 二人とも志門くんに気持ちを伝えるの。ケンカするよりずっといいよ」
あれ? なんかみんなキョトンとしてるけど、変な事言ったかな?
あたしなら正々堂々と友達と勝負をして、勝っても負けても恨みっこなしにしたい。
おかしいのかな……。
だけど、大好きなんだったら譲りたくないし、大切な友達との関係も壊したくない。
そしたら勝負しかないって思ったんだけど……。
「そうだね……」
しばらくすると、みずはがポケットから小さな箱を取り出した。
「翼。志門くんに誕生日プレゼントを渡して告白しようとしてたんでしょ。だったら私もする」
みずはは翼ちゃんの前まで来ると宣戦布告するみたいにプレゼントを突き出した。
「どっちが勝っても負けても恨みっこもケンカもなし」
「みずは……」
「なによその顔。あたしは負けないからね。親友にちゃんと好きな相手を言えないような人には」
「す……好きだもん! 私だってみずはに負けないぐらい志門くんが好きだもん!」
「やっとちゃんと言った……。でも、勝負は別だよ」
「私も……負けないもん」
やったー!
反べそをかいた二人だけど、その顔はすっごくスッキリしていた。
そこへ、
「おい、蓮! あみ! 時間がないぞ!」
丁度よく春音くんが現れた。
「あれ……? どういう状況?」
頭のいい春音くんも予想しなかった状況だけど、あたしと蓮はすぐに動き出していた。
翼ちゃんとみずはの二人を女泣かせな志門くんの元へ届けるために。


