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しんと静まりかえった教室で、一人窓の外を眺める女の子がいた。
その胸には、きれいに包装されてリボンを飾った箱が抱きしめられている。
ドアの隙間からその光景を確認したあたしと蓮は、そっと教室へ足を踏み入れた。
作戦その2を決行するために。
「翼ちゃん」
「誰!?」
声をかけるとその女の子、河合翼ちゃんはびっくりしてこっちを振り返った。
「あ、みちゃん? ──それに蓮くんも。どうしたの? さっきバイバイしたよね?」
「え!?、そ、そうだったっけ?」
そういえば、タイムリープしてきた今日は終了式。5年生最後の日だからまだ同じクラスだったのよね。
「ええと……、そうだ! わ、忘れ物に気づいて!」
「忘れ物?」
「そうなの、もう蓮ったらいっつもなにか忘れるのよね~」
「へ? 俺?」
ちょっと蓮! 話を合わせなさいよ!
小声で言うと、
「あ、そうそう、いやあ、教科書忘れちゃったんだった」
ちょっと白々しく自分の席だったところへ行って机をガサゴソとやりだす。


