「二人とも、よ~く聞いて!」
あたしはできるだけ真面目な顔で二人に顔を寄せた。
「モテモテの志門くんが誕生日ってことは、今日プレゼントを渡そうとしている子がたくさんいるってことでしょ!」
「そうか、そういうことか」
やっと春音くんは気づいたみたいで、眼鏡に手を当てて考えるモードになったみたい。
「どういうことだ?」
蓮には、もう一押しね。
「告白の時間を作るのが大変ってことよ! しかも、ファンクラブ!」
「あ!」
ここまできて、やっと蓮もピンときたみたいで、苦笑いしはじめる。
「蓮も大変だったでしょ」
「そうだった……」
そうなのです。
雑誌モデルをやっている蓮と志門くんには、女子たちが結成したファンクラブがあって、バレンタインデーや誕生日に二人が迷惑しないようにって勝手に仕切りだすの。
今年のバレンタインデーなんて、蓮と志門くんへチョコを渡そうとすると、どこからかやってきて勝手に整理券を配り初めてたんだから。
放課後、蓮と志門くんは無理矢理空き教室につれて行かれて、一列に並んだ女子たちから順番にチョコを受け取ることになったのよね。
本人たちの予定とか無視で……。
「誕生日もあれがあるのか?」
「クラスの女子が話してたのを思い出したの」
「まずいな」
「それは大変だな」
やっと二人とも重大さを理解したみたいで、よかった。
……ん?
よくはない!


