その後、気を取り直して三階にある新しい教室に入って、決まっていた窓際の席につくと、校門前に春音くんを含めた四人の生徒が集まっているのが見えた。

春音くんの影に隠れているから他の三人が誰かまではわからないけど、男の子ひとりに女の子がふたり。

もうすぐホームルーム始まるのに、なにしてるんだろう。

とか思ってたら、誰かに肩を叩かれた。

もちろんあたしは振り返る。


そしたら、


「ええっ!?」


「ど、どうしたの。急に大声出して」


そしたらなんと、真後ろに春音くんが!

今、校門にいるはずなのに。

なんで!


「どうしたもこうしたも、春音くん──、もしかして、超能力者?」


「フッ。あいかわらず面白いね、あみは。それよりまた同じクラスになったんだね。よろしくね」


 あたしの後ろの席に座る春音くん。

春音くんとは四年生から同じクラスで、また同じクラスみたい。
頭がよくて勉強教えてくれるからラッキー。

……。

って、そんなこと言ってる場合じゃなかった!

あたしは慌てて、校門へ視線を向けた。
けど、もう春音くんも誰もいなかった。

おかしいなあ……。気のせい? でも、はっきり見えたんだけどな。


「春音くんって実は双子だったっけ」


「どうして急にそうなるんだい。ぼくはずっと一人っ子だよ。知ってるでしょ」


「そう、だよね……」


「それより、小柄な女の子見なかったかな? 今日木ノ下ことりっていういとこが転入してくるはずなんだけど」


「その子も超能力者?」


「フッ、だからなんでそうなるのかな。それより来たら仲良くしてあげて。引っ越してきたばかりでこっちには友達がいないから」


「あひゃっ!」


「今度はどうしたの──って、なにその顔!」


ああ、思わず変な声出しちゃった。あたしのビックリ顔が面白かったのか、春音くんフキだしてるし。



……けど、しょうがないよね。

だって、ふと校庭を見たら、そこで笑っているはずの春音くんが校舎に向かって走っていたんだから。