──およそ三十分前。
「3月の修了式に戻って、6年2組の河合翼ちゃんを助けるなの」
二回目のタイムリープで経験を積むことが決まるとリコちゃんはそう言ってあたしたちを見回した。
「うまく解決することが出来たら、明日はことりお姉ちゃんを助けにいくなの」
「修了式って春休み前の、二週間くらい前? どんな事件なの」
経験を積むっていうぐらいだから、きっと難しい事件よね。
って思ってたんだけど、リコちゃんの答えは意外も意外だった。
「翼ちゃんの告白を手伝うなの」
「「「告白!?」」」
あたしは蓮と春音くんと声を合わせて聞き返していた。
「告白って、愛の?」
「好きな人に付き合ってくれっていうやつ?」
「それを手伝うの?」
「そうなの!」
「いいけど……簡単じゃない?」
見れば、蓮と春音くんも頷いている。
そうよね。自分が告白するならともかく。告白する人を手伝うってことは、相手を呼び出してあげるとか応援してあげるとかそういうことだもん。
翼ちゃんは5年生の時同じクラスの友達だし、楽勝じゃない?
「本人にその気がないとかじゃないよね」
裏があると思ったのか、春人くんがリコちゃんに質問するけど、返事は、
「三学期の修了式、翼ちゃんは告白したかったけどできなかったなの。そのせいで休み中すっごく落ち込んで寝込んで、新学期になっても学校を休んでいるの。だから告白できるように手伝うなの」
だった。
そんなに落ち込むなんてよっぽど本気だったんだろうな……。なんて思いながら、
「わかったわ。じゃあ行きましょう」
「ああ」
あたしたちはすぐにタイムリープすることにしてリコちゃんに触れる。
「みんながんばってなの」
ただし、行く寸前。


