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「それは大変なの」
放課後。
あたしたちは急いで小さな教室に行って、学校の座敷童子であるリコちゃんに事件のことを説明した。
「そのお姉ちゃんが昨日転校してくる予定だったってことは、もうこの学校の生徒なの。だからリコの力は使えるの。だけどね」
「なあに」
「TLクラブの活動ははじまったばかりで、あみお姉ちゃんたち3人はまだズブズブのドシロウトなの」
「ズブズブしろうと?」
「僕らに誘拐事件は難易度が高いってことか……」
「そうなの。初心者にはデンジャラスなの」
「じゃあ春音のいとこは助けにいけないのか」
「無理なの」
「そんな……」
リコちゃんは教卓の上で短い腕を組んでう~んと唸りだした。
「3人が心配なの」
カ、カワイイ! 見た目は小さな子供だけど、あたしたちのことをちゃんと考えてくれてるんだ。座敷童子ってやっぱり良い妖怪なのね。
けど、困ったな……。
リコちゃんが力を使ってくれないと、過去に行ってことりちゃんを助けることはできない。
なんとかリコちゃんを説得しないと……。
せっかく休み時間にいろいろと考えたのに──あ、そうだ!
「リコちゃん、作戦を聞いてくれる?」
「さくせん?」
「そう、今日全部の休み時間を使って、ことりちゃんをどうやって助けるか、みんなで考えたの」
「そうだ。あれなら危険も少ない」
あたしの案に蓮も頷いてる。
「ほとんど考えたのは春音くんだけど、あたしと蓮だって一生懸命小さい脳味噌で考えたんだからね」
え? なによ蓮。なんで目を細めてこっちを見るの?
なんか余計なことは言うなみたいな目よね。あたし変なこと言ったかな。
「どんなさくせんなの?」
「完璧な作戦だと思うよ。まずはね────」


