それから今日は6年生になって最初の日で、新しい教室になるから急いでるのに、下駄箱に着いてすぐ。


「おーい、あみ」


 学校一の秀才、南春音くんがやってきたの。
 
春音くんは眼鏡をかけていてほっそりしていて見た目も秀才って感じ。
塾ではもう高校生の勉強をしてるとか、一日二冊は本を読むとか、元気だけが取り柄のあたしとは正反対。

そんな春音くんが、突然おかしなことを言うの。


「こっちはなんとかうまくいったよ。思ったよりお説教は長かったけどね」


「お説教?」


「──それでそっちはどうだった?」


「え? どうって……なにか頼まれてたっけ」


しかも、


「頼まれてたっけって。なにふざけて……あ、もしかして、このあみ、オリジナル!」


とか、勝手にびっくりして、


「オリジナル?」


「いや、その、なんて言うか……ごめん、忘れて」


って、どっかに走って行っちゃったのよ。


あやまられても、こっちはわけわかんないんですけど……。いったいなんだったんだろう。
だいたいオリジナルってどんな意味だったっけ。