「ただ問題は北と南どっちの階段を使うかなんだ。教室から近い階段を使うはずだからどちらも可能性がある」


「1、2組なら北階段。3、4組なら南よね。……どっちに行けばいいのかしら」


ああ、悩んでたら時間もなくなってきちゃった。もう十二時二十分。
ケガをした一年生が転ぶまで後十分しかない。


「確率としては五分五分だから手分けしよう。ぼくが北階段へ行くから蓮とあみは南を頼むよ」


「うん」


「わかった」


春音くんの作戦で、二手に分かれることになった。

あたしと蓮は小さな教室を出て南階段に急ぐ。


「うわ~、どうしよう」


南階段で二階まで来たけど校庭へ向かう生徒がいっぱい。
たくさんの生徒が上からも教室からもぞろぞろとやってくる。

これは思ったより大変かも。

でも、ケガをする前に見つけて止めなきゃ。

あ!

目の前を、青い服の男の子が小走りに通り過ぎた。


「蓮! こっち」


あたしが咄嗟に叫ぶと、


「まかせろ」


少し遠かったけど、他の子の間をすり抜けて階段直前で蓮が青い服の男の子をつかまえる。

さすが蓮! 運動神経抜群。


「君、階段は走ったら危ないから、歩いて降りるんだ」


「あ、は~い」


男の子は素直に従って、ゆっくり蓮と一緒に階段を降りて行く。

ふ~。よかった。



──って思ったら。